【コラム】胃カメラ検査でわかる病気5選
胃カメラの検査では、胃をはじめ食道や十二指腸といった上部消化管の粘膜を直接観察することが可能です。
胃カメラには、従来のバリウム検査では見つけることが困難とされていた細かい病変も見つけられるというメリットがあります。
また、病気の部分から組織を少量採取してより精密な検査を行うことができるのも胃カメラの特徴です。
消化管の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
そういった点においても、胃カメラ検査は今後欠かせない検査方法となっていくでしょう。
今回は胃カメラ検査でわかる多くの病気の中から、有名なものをいくつか紹介します。
食道がん、胃がんなどの「がん」
がんは日本人にとって深刻な問題といっても過言ではないでしょう。
食道がんは飲酒や喫煙がリスクとなる病気で、進行がんになるまでほとんど自覚症状が出ないという特徴があります。
また、ほかの臓器への転移が起こりやすい傾向があるため、早期での発見が欠かせません。
胃がんは、胃の粘膜表面から発生するがんで、初期段階では粘膜内にとどまっていますが、進行すると粘膜下層、筋層、漿膜下層へ進みます。
がんは体の至るところで発生する可能性がある病気ですが、どのがんにも共通して言えることは「早期発見が完治の可能性につながる」ということです。
現代の医療では、初期段階のがんを完治させることも不可能ではなくなりました。
しかしそのためには、定期的な内視鏡検査で早期発見を行うことが重要なのです。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの「潰瘍」
潰瘍とは、粘膜が傷付いて深いところまで組織がなくなっている状態を指します。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍はそれ自体が命に関わる可能性は高くないですが、放置すれば多量出血が起こったり臓器に穴が開いてしまったりするため、早めの治療が必須です。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ピロリ菌感染によって発症することが多いため、家族にピロリ菌の保菌者がいる場合には一度ピロリ菌検査を行うことが推奨されています。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍になると、激しい腹痛や胃痛を感じるようになるでしょう。
こうした不調があった場合は、早めにクリニックを受診して治療を開始するようにしてください。
現代人に身近な病気でもある「逆流性食道炎」
逆流性食道炎に悩まされている現代人は多いと言われています。
逆流性食道炎とは、胃液の逆流が起こることで食道に炎症が起こるもので、炎症に伴う胸やけ、むかつき、喉の違和感などさまざまな症状が現れます。
生活習慣が悪くなっていたり食生活が乱れていたり過度なストレスを抱えていたりすると誰にでも起こる病気です。
逆流性食道炎で命を落とすことはほぼありませんが、炎症が長期間にわたると食道腺がんのリスクが高まるなど、健康への被害は甚大です。
食道や胃の蠕動運動低下、肥満などの原因を取り除くことで改善していきましょう。
がんのリスクにもなり得る「ポリープ」
胃にできるポリープには、大きく分けて2つの種類があります。
一つは胃底腺ポリープです。
胃底腺ポリープは、ピロリ菌に感染していない健康な胃にできやすく、女性ホルモンと関連性があると言われています。
がん化する可能性は低く、基本的には治療が不要なポリープと考えて良いでしょう。
もう一つは、胃過形成性ポリープです。
胃過形成性ポリープはピロリ菌が関係していることが多く、サイズが大きいものや形状によっては内視鏡切除を行う必要があります。
ポリープは定期的に検査を行い、大きくなっていたり増えていたりしないかを経過観察するようにしましょう。
肝硬変の進行で起こる「静脈瘤」
静脈瘤は、肝硬変となった人にできる病気です。
肝硬変によって肝臓へ血液が流れにくくなると、その分の血液が胃や食道に流れ込んで静脈瘤という血管のこぶができます。
瘤が大きくなると破裂する可能性が高まり、破裂すると大量吐血や下血といった症状が現れます。
静脈瘤がみつかった場合は、その部分だけでなく定期的な肝臓のチェックも併せて行いながら、必要に応じた処置を考えていく必要があります。