【コラム】肝臓病で起こるかゆみの特徴
かゆみというと、虫刺されやかぶれなどで皮膚が赤く腫れたり、ブツブツとした発疹がでたりするものをイメージされる方が多いでしょう。
こうしたかゆみには、皮膚のトラブルに分類されるものがほとんどです。
一方で、見た目には異常がない皮膚以外に原因のあるかゆみも存在します。
皮膚に目立った異常がみられないにもかかわらず、かゆみがある場合には、肝臓病など内臓機能に問題が隠れている可能性があります。
特に肝臓病になるとかゆみを感じる方は多くいらっしゃいます。
今回は肝臓病で起こるかゆみの特徴や治療法について解説していきます。
「体のかゆみに困っているけれど、原因がはっきりとわからない」「肝臓からくるかゆみは放置しておいてもいいの?」「かゆみを解消する方法を知りたい!」という方は、ぜひご覧ください。
「肝臓病のかゆみには、どんな特徴がありますか?」
肝炎や肝硬変など、肝臓に疾患を抱えている方の中に、皮膚に目立った異常がみられないにもかかわらず、強いかゆみを感じることがあります。
肝臓病によるかゆみは、以下のような特徴があるといわれています。
・ 見た目に異常がなくてもかゆい
虫刺されやアトピーのように赤みや腫れ、発疹といった見た目の変化がなく、はたから見てどこがかゆい部分なのか分かりづらいという特徴があります。
・ かいてもかいてもかゆみが治まらない
かゆい部分をかいたり軽く叩いたりして刺激を与えると、かゆみは少しおさまるのが一般的です。
しかし肝臓病によるかゆみは刺激を与えても和らぐことがなく、常にかゆみが伴うため大きな不快感につながります。
・ 全身にあらわれる
特にお腹や背中、手足全体を中心に、体の至る所にかゆみが生じます。
・ かゆくて眠れない
虫に刺されたからといって、かゆみで眠れないということはほとんどないでしょう。
アトピー性皮膚炎なども、きちんとお薬を使えばある程度症状を和らげることができます。
しかし肝臓病によるかゆみは寝ている時に目が覚めるほどの不快感であり、睡眠に支障をきたす方も少なくありません。
・ 一般的なかゆみ止めが効きにくい
肝臓病によるかゆみは、市販のかゆみ止めでは、症状を緩和することができません。
「なぜ肝臓病で皮膚にかゆみが出るのでしょう?」
肝臓病によるかゆみは、肝臓で作られる胆汁の流れが悪くなることで、胆汁の成分が皮膚に過剰に蓄積することで起こると考えられています。
また、肝臓病のかゆみは、体の中の“オピオイド”と呼ばれる物質が関係しているという研究結果もあります。
いずれにせよ、かゆみは肝臓になんらかの問題があって、正しい分泌や循環ができなくなってしまうことで起こる不調の一つと言えるでしょう。
肝臓の病気によるかゆみが続いている場合は、早めに肝臓内科を受診することが大切です。
「肝臓病のかゆみはどのような治療がありますか?」
肝臓病のかゆみに対しては、まずは抗ヒスタミン薬で治療します。
しかし、抗ヒスタミン薬が肝臓病のかゆみに効くことはあまり期待できません。
抗ヒスタミン薬で効果がない場合には、レミッチを処方します。
レミッチは高額な薬になるため、明確な効果が得られない場合には漢方の処方に切り替えます。
皮膚のかゆみに対して効果のある漢方薬を使うことで、ある程度のかゆみを緩和することが可能です。
「肝臓病のかゆみが気になる場合の対処法はありますか?」
肝臓病によるかゆみは非常に不快な症状であるため、病気のサインとして有効です。
沈黙の臓器とも言われる肝臓は、病気が隠れていても痛みや苦痛を感じることはほとんどありません。
原因不明のかゆみに悩まされている方は、もしかすると肝臓かも?と、念の為検査を受けることも大切です。
そんな肝臓病からのかゆみへの対処法ですが、現状、明確な方法は残念ながら確立されていません。
患部を冷たい水で濡らしたタオルや、氷・保冷剤で冷やして緩和させたり、処方されたお薬を使用したりしながら症状を和らげていきましょう。