【コラム】肝臓病の種類と治療法
慢性的な肝臓の病気は、原因から分類すると大きく4つに分けられます。
一つ目は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染によるウイルス性肝疾患。
二つ目は、アルコール性肝疾患や脂肪肝など、生活習慣病に関連する肝疾患。
三つ目は、原発性胆汁性胆管炎、自己免疫性肝炎などの自己免疫性肝疾患。
そして最後に、ウイルソン病などの先天性代謝性異常による肝疾患です。
また、肝臓病はそれぞれの病態に応じて、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変に分類されます。
今回はそんな肝臓病の中でもメジャーな疾患の特徴及び治療法について紹介していきます。
B型肝炎の特徴と治療方法について
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することで肝臓に炎症を起こす疾患です。
血液検査でHBs抗原が陽性であればB型肝炎ウイルスに感染していると診断できます。
B型肝炎ウイルスの特徴として、ウイルスに感染していても肝機能が正常である場合があります。
こうしたケースを無症候性キャリアーといい、その場合は治療が不要となります。
B型肝炎の症状が見られる場合には、抗ウイルス剤を用いた治療を行います。
抗ウイルス薬は、中止すると肝炎が再燃するため、原則、長期的な服薬の必要があります。
肝がんへのリスクがあるB型肝炎は、治療中も年に2回の画像診断(腹部超音波検査、CT検査、MRI検査)を含む定期的な受診・検査が必要です。
C型肝炎の特徴と治療方法について
C型肝炎ウイルスは、血液を介して感染するのが特徴です。
C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞は、リンパ球によって壊され、肝炎となります。
肝炎が10年、20年と長期的に続いてしまうと進行した慢性肝炎となり、次第に肝硬変、肝細胞癌へ発展するリスクがあります。
C型肝炎を治すためには、ウイルスを体内から駆除する必要があります。
最近では、C型肝炎ウイルスに対する新しい経口剤が開発されました。
患者様の体の状態に合わせてさまざまな薬物治療が行われていますが、現在はC型肝炎治療助成制度を申請すれば、月1、2万円まで自己負担を軽減できます。
肝硬変の特徴と治療法
肝硬変は、長期間炎症にさらされた肝臓が委縮して硬くなり、肝臓の働きが低下する病気です。
肝硬変になる原因としてはB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、アルコール性肝障害、自己免疫性疾患などさまざまな疾患があります。
肝硬変になると、体に必要な栄養が造られなくなったり、不要なものを代謝として外へ排出したりする働きが失われていきます。
そんな肝硬変では、進行の程度によって多くの症状が現れます。
肝臓の働きの低下によって黄疸や肝性脳症、クモ状血管腫、女性化乳房、手掌紅斑、下肢浮腫が出現し、肝臓の血流の悪化により食道静脈瘤、腹水などの症状が起こるでしょう。
治療としては、ウイルスが原因の場合は抗ウイルス剤、自己免疫性肝炎による肝硬変にはステロイド、原発性胆汁性肝硬変ではウルソなど、原因に合わせた治療を行っていきます。
肝がんの診断と治療
肝がんは、健康な肝臓にできることはなく、何らかの原因で慢性的に障害を受けている場合に発症します。
特にB型肝炎、C型肝炎による慢性肝炎や肝硬変にできることが多いですが、その他にもアルコール飲酒による肝硬変、脂肪肝・糖尿病による肝硬変ががん化するケースも増加しています。
肝がんの治療は、肝臓疾患の進行度と肝がんの大きさによって決定されます。
肝臓の働きが十分であれば、肝がんがある程度大きくても手術によって肝がんを切除することが可能です。
大きな肝がんの治療には、最近では粒子線(陽子線、重粒子線)治療によって治療することもあります。
ただし、粒子線治療には医療保険がきかず、自費による治療となります。
手術によって肝がん切除をした場合でも、再発の可能性はあるため定期的な検査で病変をいち早く見つけることが重要です。
また、肝がんだけではなく、慢性肝疾患が進行しないように肝臓の病気の治療も継続しなくてはなりません。
クリニック情報
『しんがきクリニック』は、和歌山県海南市名高にある内科・消化器内科クリニックです。
当院では、風邪症候群などの一般内科をはじめ、消化器の不調や肝臓疾患、生活習慣病の見直しなど、幅広い診療を行っています。
お越しになられた患者様からお話をしっかりと伺い、ご満足いただける医療の提供が行えるよう努めています。
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