【コラム】胃カメラ検査はいつ、何歳から受ける?
胃カメラ検査は、胃や食道、十二指腸などの上部消化管に病気がないかを確認する方法です。
がんや潰瘍といった消化器疾患の早期発見、早期治療には、胃カメラが欠かせないといっても過言ではありません。
最近は多くの医療機関が40歳になったら胃カメラ検査を受けるよう呼びかけていますが、これは「40歳までは胃カメラ検査をしなくていい」というわけではありません。
今回はそんな胃カメラ検査のタイミングについてのお話です。
これから胃カメラ検査を受けようと考えている方、胃カメラ検査のタイミングがわからずなかなか受けられていないという方はぜひご覧ください。
胃カメラ検査を受けるべき年齢は?
胃カメラ検査を受けるべき年齢は明確に決まっておらず、必要であれば10代の方も検査を受けることがあります。
胃カメラ検査では、初期症状が出にくい上部消化管の病気を早期発見することができます。
痛みなどの症状が出るより前段階の病変も発見することができるため、小さな不調があった場合には、なるべく早い時期から定期的に検査を受けることが望ましいです。
小さな不調の例としては以下のようなものがあげられます。
こうした症状がある場合は、年齢や時期に関係なく胃カメラ検査を受けてください。
・吐き気や嘔吐が起こりやすい
・胃の不快感が続いている
・食欲が低下している
・体重の減少が続いている
など
症状がない場合の胃カメラタイミングは?
症状がない場合は、40歳を境に毎年〜2.3年に一度の胃カメラ検査が推奨されています。
なぜ40歳なのかと疑問に思う方も多いかと思いますが、胃がんの発症は20代、30代と年齢を重ねるにつれてリスクが高まり、40代になると急激に発症が増えてくる傾向にあるためです
特に日本人は胃がんの罹患率や死亡率が高いと言われていることから、症状がない場合でも40歳からは胃カメラを受けるべきと定められました。
胃がんは、初期段階では自覚症状がほとんどないという特徴があります。
何の違和感もないまま、実はがんができていたというケースも珍しくありません。
そんな恐ろしい胃がんですが、早期発見・早期治療ができた場合の5年生存率は90%以上と寛解の可能性がかなり高いのも事実です。
こうした背景から、40歳を過ぎたら定期的に胃カメラ検査をするようにと厚生労働省や国立がん研究センターなどの公的機関が推奨するようになりました。
ピロリ菌に感染したことがある人の胃カメラタイミングは?
過去にピロリ菌感染が確認された方は、除菌治療後も定期的に胃カメラ検査を受けることが推奨されています。
ピロリ菌とは胃の中でも生きられる特殊な細菌で、胃がんの原因の9割がこのピロリ菌だと言われています。
ピロリ菌は感染しているだけでは症状が出ないため、感染に気づいていないという方も少なくありません。
長期化すると胃の壁を傷つけて慢性胃炎や胃潰瘍を引き起こしたり、最終的には胃がんを誘発したりとさまざまなリスクにつながるため、感染を確認した場合は早急に除菌治療を行います。
ただし、ピロリ菌を除菌しても胃がんのリスクが完全になくなるというものではありません。
ピロリ菌によって起こった胃の粘膜の萎縮はすぐには回復しないため、除菌後数年間は毎年胃カメラで経過を観察する必要があるのです。
胃カメラと従来のバリウムは何が違う?
胃の検査というと、胃カメラ検査以外にバリウム検査という方法があります。
バリウム検査は胃カメラ検査より昔からある方法で、造影剤という専用の液体を飲み、検査台で体を動かして胃の観察をするというものです。
バリウム検査では主に胃の粘膜の荒れ、潰瘍、がんなどを見つけることができます。
胃カメラ検査とバリウム検査、どちらかを受けていればいいと考える方も多いですが、実際はどちらも一長一短で、できれば両方受けておくに越したことはないのが現状です。